三浦 芳範 54歳 見るからに「実直」なイメージを醸し出している。会社では車掌も務めたが、現在の観光部門の担当になってから頭角を現し、今では旅行業が天職と言えるほど。
三鉄では毎朝朝礼を行い、その際に抽選で「1分間スピーチ」を行う。内容は自由だ。三浦が当たると1分間が5分になる。一生懸命話す。同じところを反復するためなかなかまとまらない。しかし「実直」な性格であり、最後までしっかりと話さなければ気が済まない。社員たちはじっと聞いている。忍耐強いのだ。
高齢女性には抜群の人気だ。三鉄ツーリストが例年実施する「青森・恐山ツアー」は三浦が添乗する。というか添乗員が三浦でなければ応募が激減する。何しろ親切である。こまごまと嫌な顔一つせず、笑顔で優しく接してくれる(参加の75歳のおばあさん談)。恐山が目的なのか、車中の三浦が目的なのか、大人気のツアーとなっている。
東日本大震災で壊滅的打撃を受けた大槌町で生まれた。知人友人、親せきも多く一応に大きな被害を受けた。三浦の心は大きなダメージを受けたが、持ち前の強い精神力が立ち直りを早くした。その強い精神力は野球で培われた。
中学高校と野球に明け暮れた。4番でファーストが自慢だ。社会人野球でも4番を任された。ただ、その後は体重が増え続け、とうとう90キロを超えた。あまりの無様な姿を鏡で見て、ダイエットに取り組んだ。現在は73キロまで落とし維持している。
趣味のアマチュア無線を楽しんでいる。見知らぬ仲間との交流は何よりの息抜きだ。思いっきり話せることもストレスの解消に役立っている。会話が通じているかどうかは微妙だが。
三鉄フロントライン研修や震災学習列車、企画ツアーなど休む暇もなく動いているが、疲れた顔や嫌な顔を決して見せないナイスガイである。妻一人娘一人の女系家族。優しさは家庭から育まれている。30年使い続けてきた冷蔵庫が壊れ、1月に高性能冷蔵庫に替えた。大きな買い物だったが、妻と娘の喜ぶ顔が何よりだった。当然その後は小遣いが減った。