日別アーカイブ: 2014年12月24日

三鉄ぽっぽや「熱き男たちシリーズ」 社内一資格免許の多い男編

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黒坂 誠 38歳 独身。岩手県の北、洋野町(種市)生まれ

見ての通り、関西お笑い系の顔つきである。吉本興業に入っていればと悔やむ日々。一見温厚そうに見える黒坂だが、免許の種類がすごい。大型特殊自動車免許はもちろん、1級土木施工管理技士、消防設備士、危険物取扱、特殊無線技士、フォークリスト運転技能、ガス溶接技能、刈払機作業従事者などのほか、ありとあらゆる作業関係の免許を取得しているのだ。

三鉄へ入社する前は、交通事業のエリートと呼ばれる東京地下鉄株式会社(東京メトロ)で10年技を磨いてきた。長男のため、戻れ戻れの親族の大合唱でUターン。そこから三鉄へ入社した。無我夢中で働いていたら6年後に大津波。心底参った。まさか、そんな、の繰り返しながら、社員一丸となった復旧工事、熱い魂の塊に触れて目覚めた。異常なほど働きまくる先輩たち。名前は言えないが(KODAとかo-zaikeとかokamotoとか)ものすごいきつい労働の連続にも疲れた顔一つしないで頑張る先輩、同僚たち。異常な集団を目の当たりにした。「三鉄がすごく好きになりました」と述懐している。Uターンして三鉄に入社したのは、たまたま求人があったから、という程度だった。

生まれの種市町(現洋野町)は、目の前が海で、天然ホヤやムラサキウニの産地であり、常に新鮮な魚介類に溢れている。でも魚介類は嫌いだった。肉のほうが好きだった。

思い出としては、久慈と陸中野田の間を定期券で高校に通ったことだ。ここで三鉄との接点があった。しかし特に感動はなかった。

今は変化した。資格は多いが「結婚歴」は無い。唯一既婚者という資格がないのだ。震災後、一躍人気となったのは、鉄道男子、イラストのキャラクター社員だ。生の独身リアル三鉄マンがここにいるのに、なぜか無視されてきた。キャーキャー言って三鉄に乗り込む若い女性たちは、どこに真実があるかをわかっていない。華やかなスポットを浴びる目立つ場所にk本部長は配置してくれない。それなら自力で目立つのみ。黒坂は今日も黙々とラッセルカーを走らせる。

三鉄ぽっぽや「熱き男たちシリーズ」 緻密かつ温厚、硬軟併せ持った鉄道マン

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大在家 辰也 おおざいけ たつや 50歳

 この男、「妥協を許さない緻密人間」なのだ。一期生入社の中では若い部類にはいるが、すでに運行本部担当部長の重責を担う。写真でもわかるように、自分では「高倉健」とダブらせてポーズを取っている。

総務、運転士などを経験してから、天職ともいえる車両担当なった。北リアス、南リアスの全車両を管理する。とにかく徹底して車両の診断を行う。些細な欠陥も見逃さない。清掃だってチリひとつ見逃さない。「安全運行はきれいな車内から」とすべてにおいて車両の診断に神経を注ぐ車両ドクターなのだ。昼食の魚だって、骨の間の僅かな肉片も見逃さずきれいに食べる。まるで骨の標本のような姿の魚が皿の上に残る。

学生時代は、久慈高校に「大在家あり」と言われたほどのバスケットボール選手として鳴らしたらしい。本人は「有名だった」と言うが確認はできない。そのためか、スポーツはなんでも得意だ。バリバリのバンカラかというとそうでもない。パソコン知識に関しては社内一なのである。つまり緻密とバンカラが同居しているのである。

ただ、三鉄の社風というか、大在家の信念というか、ONとOFFはしっかりと区別する。飲んでまで部下をこまごまと叱責したりはしない。OFFになったとたん、ニコニコとソフトな顔になってしまう。そのためか、厳しい指導者ながら部下の信頼は厚く、以外にも女子社員にも人気が高い。金野本部長真っ青である。次期本部長候補として、表舞台の橋上、裏方の大在家、二人のライバル関係も面白い。その前に金野本部長という大きな壁があるが、「定年は金野本部長が先」と二人とも意に介さない。

趣味は車とゴルフだ。車は常にピカピカに保ち、車内はチリひとつない。「あまちゃん」で有名になった表舞台の社員より、こうした裏方社員こそが「ぽっぽや」なのだと夕日を見つめる大在家の顔が光っていた。