月別アーカイブ: 2014年9月

大学生に響く秋富医師の語り

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ちょっと写真が小さいので表情が見づらいと思います。すみません。この風景は三陸青少年の家研修センターでの一こまです。で、何をしているかといいますと、防災を学ぶため、毎年岩手を訪れている和歌山大学の学生さんたちの勉強風景です。被災地から学び、次の南海トラフなどの大災害に備えようと、現場、現実、現状を学ぶ研修の旅です。震災後、いち早く応援に駆け付けてくれたボランティアサークルの学生さんたちが、代々引き継ぎ、今年で4回目です。

壇上で講師を務めているのは、岩手県高度救命救急センターの秋富慎司医師です。河原れん著「ナインデイズ」の主役を務めた方でもあります。私がコーディネートしている関係から、「秋富さん、かくかくしかじか、講師をお願いしたい」とご依頼。二つ返事で無報酬の講師となった次第です。

秋富先生の話は、震災直後の人命救助の生々しい体験と記録でした。「一人でも多くの命を救う」と大奮闘されました。道路が寸断され、ヘリコプターしか手段のない中、いかに被災現場まで救急車を到達させるか、その間の「命」をどうやって内陸の病院まで運ぶか、苦悩の連続でした。

3年6カ月を経過した現在、そうした生々しい記憶は薄れていきます。たった3年前に地獄絵図のような現場があったことを学生さんたちに伝えているところです。和歌山大学の学生さんたちは、皆さん真剣な瞳で先生を注視していました。そして、これから自分たちの郷里を襲うかもしれない現実の中、どうやって行動すればいいかを学んでいます。無関心になることは簡単なことです。でもあえて学び、行動へ移す道は険しいものです。でも誰かがやらなければ、復旧や復興はままならないことを少しでも知ってもらいたいと、秋富先生、一生懸命お話ししてくれました。現場体験者の声が、遠く離れた地域へ生かされるなら、と思う研修会でした。

2014.8.26 盛岡タイムス掲載

三陸マタギ集団の熊肉祭り

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友人から電話がありました。「今晩、マタギ仲間と熊肉焼いて食うから来ないか」と。三陸沿岸で有害獣の駆除をオフィシャルに依頼されているマタギ集団の友人からです。早速晩餐(ばんさん)会に駆け付けました。

なんと、その日に処理された熊のあらゆる部位が解体され、見るからにうまそうな肉の山がありました。「熊の背肉ロース」「レバー」「タン」「腎臓」「脂身」だそうです。熊のタンなんか見たことも聞いたこともなく、まして熊の生レバーなんて目が点になりました。

マタギの仲間、ご高齢な方々10人ほどが集結し、早速焼肉が始まりました。三陸マタギにも序列があり、弱そうでほんとに鉄砲撃つの、と見える方がサブリーダーで、熊のようにごついご仁が部下でした。リーダーの中澤さん、温厚ですが知識、経験が深く、有害獣駆除の会長で、「今年は熊が多く、駆除の依頼が殺到している」と困惑顔でした。山菜でも川魚でも獣でも、必要な分しかとらない山男たちなのです。

「て、」と花子とアンの甲州弁で叫んだのは、レバーのあまりのおいしさに驚がくしたからです。熊の脂身が必需で、これがないと始まらないと長老がおっしゃっておりました。マタギの仲間は、あの時は、あのさばき方は、など話が尽きませんが、私は黙々と、ロース、レバー、タン、腎臓と休む暇なく焼いては食べ、食べてはビールの繰り返しでありました。「山の神様に感謝し、すべてを食べ尽くすのが礼儀」と中澤さん。言葉に重みがあります。もちろんわたくしも「感謝」でいっぱいなのですが、とうとう、おなかがいっぱいになってしまいました。

新鮮そのもの、昔食べた熊汁が臭かったので、そのイメージが残っていましたが、処理の技術がすごく、臭みなど一切なく、塩とこしょうだけで十分満足する味になっています。なぜか体の芯のほうからエネルギーが満ちあふれてきました。が、大満足でこの日は午後9時に就寝となった次第であります。翌朝、ガオーと叫んで目が覚めました。

2014.8.19 盛岡タイムス掲載

「復興塾 素晴らしい講師さん」

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第8回のいわて復興塾は、釜石の岩手大学サテライトで行われました。いわて復興塾(達増拓也塾長)は、震災復興に関わる人たちが、自分の専門分野以外のことも学び、幅広い視野で復興に取り組もうとする集まりです。主に運営委員が企画し、塾生が聴くというスタイルですが、テーマによって一般参加もOKです。

釜石での第8回は水産業が主なテーマ。会場いっぱい、立ち席が出るほど盛況でした。講師は全国の水産業、水産行政、商品開発に優れた実績を持った3人の先生と、司会に岩手県の商品開発コーディネーターの五日市さん(運営委員)という布陣です。達増塾長も、早朝の盛岡出発から帰りは午後8時を過ぎるまで、同じバスでの移動参加となりました。写真の左側は、関西弁で、てきぱきと問題、課題を指摘してくれた田村典江先生です。「なめたらあかんぜよ」と威勢のいい啖呵(たんか)を切るお姉さまには見えないところがすごいのであります。田村先生の講義は、実に的を得たもので「そうそう簡単に成功するほど甘いもんじゃおまへん」「宝くじや打ち出の小づちを期待せんと、自分で自信を持って切り開かんとあかん」と、ズバズバと小気味よくご指摘を賜りました。

わたくしめは、当日の司会でしたが、迫力に押され、翌日市内観光を申し出た次第であります。石割桜の前で「岩手人は根性あるなあ」と独り言をつぶやき、忍耐強く石を割って巨木に育った石割桜を褒めたたえました。「すごいもんやね」と感動していただき、わたくしめ、ちょっと鼻高々でありました。もちろん割れた石の間から育ったことは、田村先生、先刻ご承知でありました。なにしろ水産業ばかりではなく、林業の専門家でもありました。男女均等社会の実現のためにと、県庁友人の鈴木浩之君が頑張っておりますが、均等どころか、ぐんぐん成長するヒノキを見ているような一日でありました。金言「優しそうな美人顔でも 見えないところは石割桜」

2014.8.12 盛岡タイムス掲載

当会会員 松本忠氏盛岡で個展

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朝晩に涼しさを感じるようになりました。宮古では一層のことと思います。
6月末の、盛岡での「三陸鉄道 情熱復活物語」出版記念パーティー及びその後のメール等では、大変お世話になりました。
貴会のブログにて、夏休み時期の三陸鉄道の賑わい、眩しく拝見いたしました。
震災から3年半、「あまちゃん」が終わって一年、全線開通から約5か月、その後、沿線はどんな様子なのだろうと時々想像を巡らせます。
私が最後に三鉄に乗車したのは昨年の4月、南リアス線の吉浜-盛駅間が開通して少しした頃でした。
曇り空の平日、ということもあり、その時の乗客は私含めて数人でしたので、ブログで見る賑わいを本当に嬉しく感じました。
ところで、以前メールで話題にさせていただいた盛岡での個展ですが、添付ファイルのとおり、ご案内葉書が出来上がりました。
郵便でも追ってお送りいたしますが、まずは取り急ぎメールにてお知らせさせていただきます。
展示点数は約40点。内訳は、三陸鉄道4点。その他岩手県内の路線6~7点。それ以外の東北地方の路線10数点。
東北以外の全国の路線、約20点、といった形での構成です。
当個展におきましても、これまで三陸鉄道から購入させていただいている切符や回数券を、私の絵やエッセイを入れたポストカード大のカードに貼って、
ご来場の方にプレゼントいたします。また、当展の売上の一部(10%)も、三陸鉄道をはじめとした各地のローカル線の切符購入に充て、ひきつづき応援して参りたいと思います。
私のような遠方に住むものとしては、実際に乗車しに行けるのは、年1~2回くらいです。そうしたなか、こうして現金書留で切符を購入できることで、
「応援させてもらえる」ということは、鉄道に思いを抱くものとして、とても嬉しいことです。
また、私の場合は個展で配布できることで、ほんの少しでも、応援の輪が広がることを期待できます。
6日間にわたる個展の終了後には、遅ればせながら、全線開通した三陸鉄道に乗車したいと思っております。
夏休みシーズンの疲れが出るころであり、また久慈での秋まつりなど、三陸では今後も忙しい日々が続くことと思います。
そのような中、宮古から距離のある場所での個展案内で大変恐縮ですが、近況報告とお知らせまでに。
それでは今後ともよろしくお願いいたします。
松本 忠