ちょっと写真が小さいので表情が見づらいと思います。すみません。この風景は三陸青少年の家研修センターでの一こまです。で、何をしているかといいますと、防災を学ぶため、毎年岩手を訪れている和歌山大学の学生さんたちの勉強風景です。被災地から学び、次の南海トラフなどの大災害に備えようと、現場、現実、現状を学ぶ研修の旅です。震災後、いち早く応援に駆け付けてくれたボランティアサークルの学生さんたちが、代々引き継ぎ、今年で4回目です。
壇上で講師を務めているのは、岩手県高度救命救急センターの秋富慎司医師です。河原れん著「ナインデイズ」の主役を務めた方でもあります。私がコーディネートしている関係から、「秋富さん、かくかくしかじか、講師をお願いしたい」とご依頼。二つ返事で無報酬の講師となった次第です。
秋富先生の話は、震災直後の人命救助の生々しい体験と記録でした。「一人でも多くの命を救う」と大奮闘されました。道路が寸断され、ヘリコプターしか手段のない中、いかに被災現場まで救急車を到達させるか、その間の「命」をどうやって内陸の病院まで運ぶか、苦悩の連続でした。
3年6カ月を経過した現在、そうした生々しい記憶は薄れていきます。たった3年前に地獄絵図のような現場があったことを学生さんたちに伝えているところです。和歌山大学の学生さんたちは、皆さん真剣な瞳で先生を注視していました。そして、これから自分たちの郷里を襲うかもしれない現実の中、どうやって行動すればいいかを学んでいます。無関心になることは簡単なことです。でもあえて学び、行動へ移す道は険しいものです。でも誰かがやらなければ、復旧や復興はままならないことを少しでも知ってもらいたいと、秋富先生、一生懸命お話ししてくれました。現場体験者の声が、遠く離れた地域へ生かされるなら、と思う研修会でした。
2014.8.26 盛岡タイムス掲載