三鉄ぽっぽ屋「初々しいシリーズ」最若手 皆川 哲也 22歳

20150127

遠野市と大船渡市、陸前高田市の中間にある住田町。海のない町である。主な産業は林業で、町の真ん中を気仙川が流れる至ってのどかなところだ。その町で生まれ育った。真冬でもスーツだけで過ごす。寒くはないと言う。住田町の厳しい気候風土が皆川青年を逞しく育てた。真冬でも宿舎には暖房器具が無い。耐寒力、忍耐力は間違いなく社内一だろう。

小学校時代は野球選手だった。予選会はいつも弱い相手と当たり楽勝で県大会に進んだ。小学校5年の時には県大会優勝も味わった。

住田高校では常にトップの成績だった。そこから宮古の岩手県立大学宮古短期大学部へ進んだ。東日本大震災3・11の後の4月に入学した。その時から被災地で何か役に立つ仕事をしたいと思い、沿岸以外の就職には興味を持たなかった。その思いがピークに達したときに「三陸鉄道の求人」があった。即決断し試験を受け、正社員として採用された。

総務部に所属している。経理補助も行う。あまり口数が多いほうではなく、言われた仕事は黙々とこなしていく。嫌な仕事も率先して取り組む。朝は幹部と同じ時間、8時前に出社する。湯を沸かし新聞を整理し始業に備える。一日も休んだことがない。

夢は大きい。我慢強さは人一倍優れている。「今の上司は10年後には全部定年となっていなくなる。そこまで我慢して働いていれば総務部長になっている」と壮大でもないような夢だ。もう一つは、彼女がいないことだ。魅力はあると思うが気づいてくれる女性がいない。同じ郷里出身の菅野先輩にだけは負けたくない。はやく彼女を見つけて住田町で凱旋パレードをしたい。そうした大きな夢を抱き、今日も黙々と仕事をする。