4月5日土曜日。釜石駅で三陸鉄道南リアス線の再開宣言に続き、その夜は宮古のホテルで30周年のお祝い会を兼ねた前夜祭が行われました。南リアス線の一番列車午前5時48分盛駅発は、全国からやってきたファンや地元の人たちであふれました。翌日の北リアス線の一番列車午前6時8分発も、当然ながら超満員。「まるで山手線だ」と叫んだお客さんがいました。宮古駅前もお祝いムード一色。5日、6日のテレビ、新聞は「三鉄」一色でした。
実は、誰よりも熱く、誰よりも真剣に、誰よりも待ちわびていたのは一般社員たちです。
華やかな式典に参加することなく、この日も残工事現場で働いていた南と北の社員。一番列車の通過をファンとは違った気持ちで眺めていました。うっすらと涙を浮かべ。徹夜で準備してきた総務関係社員は、大物要人の応対で目いっぱいでしたが、それぞれが持ち場の合間にホームに立ち、3年間を振り返っていました。運転士の顔には喜びがあふれ、感無量そのものでした。
前夜祭で壇上に立ち、社員を代表して誓いの言葉を述べたのは、運転士の下本君と、旅客サービス係の大橋さんです。「あれから3年余り…」下本君が声を詰まらせました。隣の大橋さんは、必死でこらえましたが目が真っ赤です。二人そろって「これからも笑顔をつなぎ、地域とともに歩んでいくことを誓います」と述べると、大臣も知事も社長も、うなずきながら拍手です。割れんばかりの拍手が会場に鳴り響きました。
さあ、これから第二の開業です。「いばらの道」かもしれませんが、前に進むだけです。おめでとうございました。