何ということでしょう。あの三鉄に野球チームができました。しかも「草野球日本一」を目指すという壮大な構想です。まだ実力がどこまでなのかも分からない段階で、ユニフォームや球団マークなど完璧に出来上がっています。このチームは、キットカットでおなじみのネスレ日本がバックアップし、これから復旧する宮古市田老球場をホームグラウンドに活動します。
球団組織がこれまたすごい。球団オーナーは望月正彦三鉄社長。監督は、山本正德宮古市長。ゼネラルマネージャーには、これも驚く大リーガーシアトルマリナーズの岩隅久志投手が就任。応援ソングはMONKEY MAJIK(モンキーマジック)が手掛けます。これだけでも意気込みがすごいことが分かります。主役の選手たちは、といいますと三鉄を中心に宮古市役所職員、地元野球好きな人たちで構成されます。
11月下旬に、宮古市の新里野球場で早速、練習の紅白試合を行い、山本監督が辣腕(らつわん)を振るいました。写真で見ると、いかにも強そうなイメージです。檄(げき)も様になっているように見えます。望月オーナーは「オーナーって人事もできるんだよね。50連敗したら山本監督は更迭かな」と不気味に笑います。草野球といっても、全国には強豪チームがひしめきます。当面は、かなり弱いチームだけを選択して「勝つ味」を覚え込ませることから始めるような戦略もありますが、そこにも負けると「いつかはキットカツ」とスローガンになってしまいます。
ただ全くの素人ではありません。写真左から2人目のプロテクターを着けたキャッチャーは、三鉄の施設部勤務の本格的野球青年鈴木君です。毎日、重い車両や重機を扱っていますので、体力は万全です。ただ入社後すぐに結婚したのが体力的に心配なところです。山本監督は「きょうは辣腕指導だけにしたが、これからは気合を入れて剛腕指導にする」と、ほえまくりました。
2014.12.19盛岡タイムス掲載