岩手の復興「パワーマン」とは、震災復興に欠かせない人物をいいます。情熱的でパワフルで、着実に成果を示す人物、それが復興パワーマンなのです。 これから次々とご紹介しますが、まず第1号は三鉄社長の望月正彦さんです。この温和で優しい顔のどこに炎のようなパワーがあるのか、不思議ですね。いつも近くにいる私が、冷静に観察し分析してみました。エネルギーの根源は、「楽しみがあるから頑張れる」です。何が楽しみかというと、一つは「海釣り」。毎月予定を立てるのですが、その日を思い描いて仕事に励みます。復旧にかける膨大な交渉事も、その日を思い描いて働くもので、ちっとも苦にならないと言います。そこがパワーマンたるゆえんなのです。二つ目は「道路沿いの山菜採り」です。春本番になると目が輝いてきます。あそこのコシアブラ、どこそこのタラの芽、コゴミ、葉ワサビ、山ウドと、それはそれはせわしく駆け回ります。しかも重大な仕事をこなしながらなのです。三つ目は料理です。「草野さん、これ作ったので食べてみて」と、よくいろいろ頂きます。手の込んだ七味や甘くて飛び切りうまい海苔(のり)つくだ煮など、なかなかのものです。釣った魚の新鮮な刺身と山菜のてんぷら。そこに振りかける社長の七味。これが三陸の至福の味なのです。あの三陸鉄道を再開通させた剛腕社長とは思えぬ繊細さに、ついほほ笑んでしまいます。 とてもおちゃめな社長ですが、いったん仕事モードに入るとエネルギーが爆発します。「地域のために笑顔をつないでいこう」と朝礼で話します。その精神を受け継いだ三鉄社員。これからも笑顔をつないでいきます。明るい三陸鉄道、いよいよ、あすあさってで、全線運行を再開します。