人気の三鉄は連日報道各社からの取材申し込みが舞い込む。その窓口業務という大事なポジションを担当しているのが太田智子だ。愛くるしい笑顔を振りまき、それでいて控えめな日本型女性の雰囲気を醸し出している。おっとりしていて、その割には「動じない」性格も有している。だからあまり悩まない。落ち込んだ顔を見ることはない。本人は「落ち込んだことはあります」と言う。でも「一晩寝ると治ります」と、なんと言うか、十分三鉄変人クラブに入れる性格の持ち主だ。明るいマドンナなのだ。
テレビ局や新聞社、雑誌社の担当に的確な情報を提供し、取材依頼の社員の人選もなかなかなものだ。広報は三鉄の大事な仕事だ。三鉄のイメージは「そのまま」が基本コンセプトで、演出や修飾はない。それだけに意外と難しい。「勤勉で、真面目で、どこかユニークで」が三鉄マンのカラーだ。その代表選手は、望月社長だ。「とっても有名なのに全然威張ったところが全くなく、おちゃめでいつも可愛らしい」と社長を分析している。
太田は独身だ。理想の男性は「春風のようにふわっとして温かい人。爽やかに通り抜けて行きながら周りが和やかになってくるような人」と結構欲張りな理想像を持つが、実は三鉄そのものが「そんな感じ」だから、案外近くにそういう人がいるのかも知れない。総務部長が、「あ、それ俺のことです」というが、まったく場違い、間違い、勘違い、人違いだ。
三鉄の広報担当と言えば、「あまちゃん」を熟知していないと務まらない。すべてが「あまちゃん」に通じる。ある朝の朝礼で「わたしカミングアウトします」と告白タイムとなった。「実は・・あまちゃん・・見たことありません」。社員全員が「じぇじぇじぇじぇじぇ」。社長が気絶したほどだ。それで、絶対に何かを覚えなければと毎晩歌の練習をしてマスターしたのが「潮騒のメモリー」だ。
「歌詞を見なくても歌えます」と得意げに言ったが、社員にとっては常識だ。そのあたりが「三鉄の妹」と言われる所以かもしれない。「あまちゃん」を知らなくても社員みんながカバーしあうので、「とっても良い職場です。三鉄に入社できてとっても幸せです」と笑顔を見せる。
「変な人が多くて面白い」と。変な人たちに囲まれて、十分変な人の太田は今日も元気に働いている。