月別アーカイブ: 2015年7月

三鉄ぽっぽ屋「月見草運転士」飯田 晃司

20150729

橋上や下本、佐々木と言った花形運転士の陰で、ひそかに小さな花を咲かせている運転士グループがいる。花形運転士がヒマワリなら、俺はしがない月見草と野村監督が言っていたが、こちらの月見草はナチュラル、自然体である。

何が好きかと言うと、掃除である。トイレの掃除も一生けん命だ。レールの重要な機械の一つにポイントがある。「ポイント掃除」だ。地味だが列車にとってはとても重要だ。主に新人が先輩に怒られながら行う作業だが、飯田は「今でも好きな仕事」と言い切る。掃除をし、給油してポイント転換がスムーズになった瞬間の達成感が好きだ。細かなところをしっかりと点検し、安全に走行する手順がある。飯田は手順通り、何千回と繰り返しても変わることなくしっかりと点検する。列車の調子も瞬時に見抜く。運転しながら「今日は機嫌がいい」「今日は気温が高すぎてばて気味かな」とか、一心同体のパートナーを気遣う。

小学校5年の時に、久慈に国鉄久慈線が開通した。朝早く起きて一番列車に乗った。別に鉄ちゃんじゃないけど、いまその鉄道に毎日乗っているとは不思議な感じだ。地域を支え、地域の人たちの大事な足としての任務は震災前と今でも全く変わらない。いくら三鉄ブームになったからと言って、そうした姿勢が変わることはない。普段通りなのだ。地域にあってこその三鉄は決してスターでもなく芸能人でもない。ごく普通のローカル線だと飯田は思いを強くする。こうした紙面やネット、マスコミに載ることを敬遠する。目立つところには立ちたくないのだ。まさに月見草飯田。

 

三鉄ぽっぽ屋 「三鉄観光のエキスパート登場」赤沼 喜典

三鉄ぽっぽ屋 赤沼 

自慢は「若い嫁」だ。独身男性の多い三鉄にあって、周囲の僻みをまったく感じなくぬけぬけと「うちの嫁は」と自慢。嫉妬の目線が突き刺さるのは快感だ。

とはいえ、波乱万丈の人生を歩んでいる。愛する「若い嫁」を迎え、実家の宮古市田老で新婚生活を始めたとたんに大津波に襲われ、家や家財道具などすべてを失った。「若い嫁」を自宅に残し、不安の中、祈る気持ちで探し回った。東日本大震災の2日前に震度4の地震があった。その時に「若い嫁」は田老の実家でじっとしていた。近所の人に言われた。「すぐに高台に逃げないとだめだ」ときつく叱られた。その2日後、本震が襲った。教えられたとおり高いところへ逃げ命を守った。古くからいる地元の方々が命の恩人となった。

赤沼は、三陸鉄道の観光のエキスパートだ。震災後三鉄が企画した「被災地フロントライン研修」でガイドをした。写真の後ろに見える何もない原っぱこそ、赤沼の自宅のあった場所だ。自分の家が破壊され、その前でガイドをするのは辛かった。それでも怖い震災の教えを、身を以て説明し伝えることは自分の使命と頑張ってきた。やっと仮設住宅から戸建ての新居に移ることができた。愛する「若い妻」と人災後に授かった娘と新天地で新しい家庭を築いていきたいと強く願っている。黙々と働き続ける強靭な精神は、新しい命を守り幸せな家庭を創っていきたいという重いからだ。赤沼は異色の経歴の持ち主だ。三鉄ではおよそ想像しにくい資格がある。それは保育士で「幼稚園教諭」だ。その資格をたった一人の愛娘に使っている。

三鉄ファンの知らない特技もある。実はこたつ列車の発案者だ。そしてあのさんてつくんをデザインしたのも赤沼だ。赤沼は今日も団体のお客さんを案内し、各地を飛び回っている。

三鉄ぽっぽ屋「花の運転士シリーズ開始」 隠れた名優 林郷哲已(りんごうてつみ)

20150716

同僚談「リンゴウは特に関西のおばちゃんにもてる。あるとき団体で乗車した関西のおばちゃんに囲まれ、(いい男ねえ)(いい声)(可愛い)と連発され固まっていました」。林郷・りんごう、という苗字は大変珍しい。その上関西のおばちゃんに持てる林郷がいままでマスコミにも登場していない訳は、異常に照れ屋でカメラの前に立つなんて「倒れてしまう」という性格からだ。裏方に徹するのが仕事といい聞かせている。目立ちがり屋のK本部長や南のY部長やK運転士とはまったく正反対のところに位置する。金野本部長曰く「運転技術は三鉄ベスト3に入る」と太鼓判を押す。

スポーツ少年だった。自分から立候補したわけではないのに、小学校の時は生徒会長になった。高校でも生徒会執行部、仲間が推薦してそうなった。性格的に内気で人の前に出るのは苦手。生徒会長は自分を少し変えてくれたきっかけになった。会社でも自分の意見をなかなか言えない。つい相手のことを考えてしまい、自分を犠牲にしたほうが楽と考えてしまう。

林郷の三鉄愛は深い。極小さな会社で経営も苦しいが、細々でもいいからずっとこの地に三鉄を走らせたいと願う。マスコミに取り上げられ、華々しい三鉄は似合わないと、純ローカル線の運転士イメージを追いかけている。三鉄車両では当然酔わないが、一番お勧めする北山崎のクルーズ船は船酔いしてしまう。それでもあの雄大な絶景はお勧めだと笑う。三鉄は陽気なグループと硬派グループに大別される。林郷はその中でも堅物硬派だ。珍しく自分の意見を話すときは熱い。お客様に対するサービスの心などはとにかく熱く語る。その爽やかさとのギャップが関西系おばちゃまたちにモテル理由の一つかもしれない。

もう一つ、林郷にはセカンドネームがある。「ベアキラー」だ。フマキラーではない。この優しい心の持ち主が運転すると、なぜか熊が飛び込んでくる。「クマをはねた」と情報が来ると、社員誰もが、運転は林郷かな、と思ってしまう。

ベアキラー林郷、ナイスガイである。

三鉄ぽっぽ屋「最強のイケメン入社」 茂内 貴文 23歳 施設係

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久々ぶりの新人。しかも23歳。背も高く足も長い。平均年齢50歳の三鉄にあっては異例の若さ。しかも先輩たちが嫉妬するイケメンである。写真の中央が茂内だ。しかもホリエモンと同じ貴文である。現在北リアス運行部施設係として、嫉妬に狂った屈強な先輩たちの指導を受けて重労働に励んでいる。右隣の先輩Kはいまだ独身。

高校時代は暴風雨でも雷が落ちても、毎日休まず自転車で通学。野球漬けの毎日。三鉄キットドリームズの主力選手だ。強い意志が持ち味だが、欠点も当然ある。「人の意見に惑わされやすい」らしい。この程度の欠点はむしろ若さゆえ、逆に武器だ。とにかく明るい。多少おちょこちょいのところも魅力だ。会社では「失敗ばかり」と山崎指令とは真逆の答え。謙虚である。リアル三鉄マン独身集団にとっては極めて脅威な存在である。先輩諸氏を差し置いて、列車の中で披露宴が行われる日はきっと近い。まだガールフレンドはいないが十分期待できる。

 先輩K

可愛がってやる。足腰立たないくらい疲れさせ、夜遊びできないようにする。施設係は「どろどろの汗まみれ」が本分。爽やか、なんてはもってのほか。

 

三鉄ぽっぽ屋シリーズ 「笑顔の指令・謹厳実直」山崎 智巳 一期生

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実に真面目な男です」と自分で自信を持って言い切る山崎は、入社以来実直路線を歩み続けている。「失敗の経験は全くない」と言い切る。用意周到な準備と失敗想定シュミレーションを繰り返し、未然に「失敗」を防ぐ。失敗はないが、夢は良く見る。列車の脱線や衝突する夢だ。夢の経験は車内で一番多いのが自慢だ。もちろん現実には一度もない。常に笑顔である。部下を怒るときはない。笑顔で指導する。今年3月までは宮古駅長として大混雑の人気駅を仕切ってきた。宮古駅にある「落ちないにゃんこ神社」を守ることも山崎の使命だった。その後久慈の「指令」として異動となった。趣味は「ウオーキング」。歩くことが健康の基本と頑なに信じているが、本音は「金がかからないスポーツ」らしい。仕事は「淡々とこなす」ことが生きがいと言いきる。サプライズやドラマは不要なのだ。会社についたらゆっくりとお茶を飲む。呼吸を整え今日の仕事を確認し、そのまま淡々とこなしていく。平穏無事、これが鉄道マンの目指すところと今日も笑顔で業務をこなす。目立つことは苦手と、自分で書いてきたプロフィールである。

 「金野本部長談」

自分で「生真面目を実写化したような性格」と政治家みたいな答弁を平気で言う心臓に金たわしが生えたような図太い神経。この笑顔に騙されないようにこちらのほうが気を遣う。手ごわい部下だ。