日別アーカイブ: 2015年7月24日

三鉄ぽっぽ屋 「三鉄観光のエキスパート登場」赤沼 喜典

三鉄ぽっぽ屋 赤沼 

自慢は「若い嫁」だ。独身男性の多い三鉄にあって、周囲の僻みをまったく感じなくぬけぬけと「うちの嫁は」と自慢。嫉妬の目線が突き刺さるのは快感だ。

とはいえ、波乱万丈の人生を歩んでいる。愛する「若い嫁」を迎え、実家の宮古市田老で新婚生活を始めたとたんに大津波に襲われ、家や家財道具などすべてを失った。「若い嫁」を自宅に残し、不安の中、祈る気持ちで探し回った。東日本大震災の2日前に震度4の地震があった。その時に「若い嫁」は田老の実家でじっとしていた。近所の人に言われた。「すぐに高台に逃げないとだめだ」ときつく叱られた。その2日後、本震が襲った。教えられたとおり高いところへ逃げ命を守った。古くからいる地元の方々が命の恩人となった。

赤沼は、三陸鉄道の観光のエキスパートだ。震災後三鉄が企画した「被災地フロントライン研修」でガイドをした。写真の後ろに見える何もない原っぱこそ、赤沼の自宅のあった場所だ。自分の家が破壊され、その前でガイドをするのは辛かった。それでも怖い震災の教えを、身を以て説明し伝えることは自分の使命と頑張ってきた。やっと仮設住宅から戸建ての新居に移ることができた。愛する「若い妻」と人災後に授かった娘と新天地で新しい家庭を築いていきたいと強く願っている。黙々と働き続ける強靭な精神は、新しい命を守り幸せな家庭を創っていきたいという重いからだ。赤沼は異色の経歴の持ち主だ。三鉄ではおよそ想像しにくい資格がある。それは保育士で「幼稚園教諭」だ。その資格をたった一人の愛娘に使っている。

三鉄ファンの知らない特技もある。実はこたつ列車の発案者だ。そしてあのさんてつくんをデザインしたのも赤沼だ。赤沼は今日も団体のお客さんを案内し、各地を飛び回っている。