岩手のぬか床、銀座で大活躍

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手にしているのは、東京銀座の料理店の渋谷板長です。で、持っているのは、産直奥中山高原で販売しているぬか床です。素人でも簡単にぬか漬けができるようにと、商品開発コーディネーターの五日市知香さんと、ぬか床名人の生産者の皆さんが手塩にかけて開発した秀逸の商品です。ポリ容器に入っていて冷蔵庫へ収納できるサイズです。「銀座おおたに」という京料理の店で、私が東京時代にとってもお世話になりました。おかみさんがやせ衰えていた私を気の毒がって栄養をつけてくれました。おかげで必要以上に太ってしまったのは誤算でした。

「銀座おおたに」の渋谷板長さんに2年前に1箱をプレゼントしました。そうしたら毎日手をかけ、ただの一度もダメにすることなく大事にぬか床を育ててきました。お店の人気は、岩手奥中山のぬか床でつけたぬか漬けです。季節の野菜たちが彩りよく美しい器に盛られて出されますと、やぼったい東北が洗練された東北へと変身するのです。

京都の和食が食の世界遺産の元締めのようになっていますが、新鮮な三陸の魚介類や、遠野や県北のみずみずしい野菜が板長の腕にかかり、「食材の世界遺産は岩手」となってしまいます。とにかくおかみさん、板長は「岩手大好き応援隊」なのです。昔は若かったおかみさんは、「岩手の物はなんでもおいしいのよ」とお客さんにもしっかりとPRしてくれます。先日は、宮古の寒ビラメと、甘みぎっしりのホタテを京料理風でいただきました。「素材がいいから、あまり手を加えなくていいんですよ」と言われますと、なんとも言えない心地良さ。「もっと言って」と催促してしまいます。春には三陸沿岸で採れる山菜を使い、秋には岩手産キノコが主役となります。「銀座おおたに」が岩手一色で染まります。

岩手の皆さま、東京へ出張の折には、世界に誇る岩手の食材で京料理風をぜひ味わってください。お店は「銀座MATSUYA」の裏手、王子製紙本社前の小さなビルの3階にあります。ちなみにメニューはありません。豪華なコース料理(1万円)のみです。

2014.12.12盛岡タイムス掲載