三鉄ぽっぽ屋「花形運転士シリーズ」 人生最大の仕打ちを受けた不遇の指令 指令主任 千葉 敬 46歳

20150205

これ以上の仕打ちはなかった。今でも夜中に目が覚める。夢も見る。あの日、一昨年の「能年玲奈」ちゃんが、NHKの番組「突撃あっとほーむ」でサプライズ出演。大船渡盛駅にやってきた時だ。南リアス線運行部吉田部長が言った。「おまえは指令だから留守番な」・・・碁石海岸から真っ逆さまに落とされた焦燥感が襲った。みんなが玲奈ちゃんと踊っているとき、指令室で泣いていた。誰よりも玲奈ちゃん命と頑張ってきた。「ひどい」と呟いた。イベントが終わり、「玲奈ちゃん最高!」「お、おれ握手した!」と大はしゃぎする仲間の嬌声を聞いて泣いた。男らしく生きようと決心した。そうした気持ちは一切出さず業務に励んだ。以前より毅然として働いた。

 吉田が後ろめたさを感じていた。その後、AKB48「恋チュン」Yutube動画の出演オファーが三鉄にあった。吉田はすかさず千葉を出演させた。次の依頼も来た。どちらもAKB48だ。吉田は優先的に千葉を出演させた。「まゆゆ」と車内でのツーショットも実現させた。ようやく千葉の機嫌が直り、吉田は安堵した。今では千葉家の家宝として、「まゆゆ」とのツーショット写真が家に飾られている。家宝らしい。切り替えも案外簡単な運転士なのだ。

 業務は指令中心だが、運転は好きだ。小さい時から「パイロット」になるのが夢だった。運転士になった。「空か地上かの違いだけで、どっちも運転士。夢がかないました」と言う。おおらかな性格だ。ONとOFFがはっきりしている。仕事中は一切笑わず、仕事に集中する。仕事が終わり仲間との飲み会になると、別人に変身する。テンションが上がり過ぎて止まらなくなる。が、翌日はまた仕事の顔に戻っている。

 生まれは盛岡の山奥。現在は大船渡暮らし。勉強嫌いで優柔不断と自己分析しているが、実際は真面目で頑張り屋だ。

 千葉の自慢は、「仕事(三鉄)も嫁も替えずに今まで頑張ってきたことです」と言う。さらなるプロフェッショナルを目指し、今日もてきぱきと仕事をこなす。