三鉄ぽっぽや「熱き男たちシリーズ」 緻密かつ温厚、硬軟併せ持った鉄道マン

7

大在家 辰也 おおざいけ たつや 50歳

 この男、「妥協を許さない緻密人間」なのだ。一期生入社の中では若い部類にはいるが、すでに運行本部担当部長の重責を担う。写真でもわかるように、自分では「高倉健」とダブらせてポーズを取っている。

総務、運転士などを経験してから、天職ともいえる車両担当なった。北リアス、南リアスの全車両を管理する。とにかく徹底して車両の診断を行う。些細な欠陥も見逃さない。清掃だってチリひとつ見逃さない。「安全運行はきれいな車内から」とすべてにおいて車両の診断に神経を注ぐ車両ドクターなのだ。昼食の魚だって、骨の間の僅かな肉片も見逃さずきれいに食べる。まるで骨の標本のような姿の魚が皿の上に残る。

学生時代は、久慈高校に「大在家あり」と言われたほどのバスケットボール選手として鳴らしたらしい。本人は「有名だった」と言うが確認はできない。そのためか、スポーツはなんでも得意だ。バリバリのバンカラかというとそうでもない。パソコン知識に関しては社内一なのである。つまり緻密とバンカラが同居しているのである。

ただ、三鉄の社風というか、大在家の信念というか、ONとOFFはしっかりと区別する。飲んでまで部下をこまごまと叱責したりはしない。OFFになったとたん、ニコニコとソフトな顔になってしまう。そのためか、厳しい指導者ながら部下の信頼は厚く、以外にも女子社員にも人気が高い。金野本部長真っ青である。次期本部長候補として、表舞台の橋上、裏方の大在家、二人のライバル関係も面白い。その前に金野本部長という大きな壁があるが、「定年は金野本部長が先」と二人とも意に介さない。

趣味は車とゴルフだ。車は常にピカピカに保ち、車内はチリひとつない。「あまちゃん」で有名になった表舞台の社員より、こうした裏方社員こそが「ぽっぽや」なのだと夕日を見つめる大在家の顔が光っていた。