三鉄ぽっぽや「熱き男たちシリーズ」 純情虎舞編

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菊池 弘充 (きくち ひろみつ) 52歳

生粋の釜石人である。世界遺産登録を目指している産業遺産「橋野高炉跡」の橋野で生まれ育った。遊び場は当然自然しかなく、田んぼや川を走り回っていた。

彼は、見合いのプロ、達人である。三陸鉄道のキャラクター「鉄道男子」のモデルであることは、ほとんどの社員が気づいていない。見合い回数100回超。すべてを熟知しているが、残念ながら成功事例はない。リアル三鉄マン、全国から一緒に虎舞を踊る伴侶を求めている。

東日本大震災では叔父が犠牲になり、友人たちにも大きな被害が出た。失意のどん底まで味わった。震災前は、岩手県の観光PR大使を務め、運転士でありながら、車中での虎舞サービスは大人気だった。虎舞のお面を製作をしてくれた大恩人が津波犠牲となり、自分が持っているお面が遺作となった。二度と踊らないと命同様に大事にしていたお面を封印した。が、虎舞の指導をしてくれた先生から、「踊ってこそ供養」と叱責を受け、再び舞うことを決めた。その日は、あの「あまちゃん」こと能稔玲奈ちゃんが,NHK[突撃あっとほーむ]という番組で大船渡盛駅のイベントにサプライズ登場した時だ。本当に「あまちゃん」が来るのか、当日まで半信半疑だったが、来てくれた。感動だった。そして震災後初めて「あまちゃん」と一緒に踊った。一生の記念となった。「俺の嫁さんはあまちゃんだ」と、途方もない妄想が重い身体の小さな胸いっぱいに膨らんだ。

2    手前黄色い虎舞が菊池弘充

思えば、釜石で育ち高校生まで電車に乗ったのは修学旅行の2回だけだった。憧れの三鉄に入りたくて猛勉強をした。その時の受験に三鉄に乗った。人生3度目の電車だった。

それから30年。厳しく指導してくれた大先輩。すべてが今の自分があるのも指導のお陰と感謝の日々。それでも不器用さは直らない。それも持ち味だと言い聞かせている。およその部署はすべて経験してきたが、やはりお客様と接することが出来る運転士こそ、自分の転職なのだと。体重100キロ。明るく前向きに生きる。

(同僚の声)

全国の皆様、「ひろみつ」を見つけたらぜひ声をかけてください。願わくは生涯の伴侶が舞い降りてくることを願うばかりです。きっと両手で受け止めます。